私達は、自宅で何匹も老猫を看取ってきて、老猫の魅力を知り、これまでの経験を他の老猫達にも活かしたいと思って開業しました。
お恥ずかしいことに「譲受飼養業」ができた経緯を全く知りませんでした。
今回、「愛玩動物看護師」の国家試験を受けるにあたって勉強した際に、わかったことです。
そして、運営していくうちに、老猫達と飼い主が抱える深刻な問題が明白になってきたのでここに記していきます。
何かの参考になれば幸いですし、猫だけでなく「老犬ホーム」にも共通する問題点も多々あると思います。
*歴史的背景
保健所に猫が持ち込まれる理由の上位には、「不妊・去勢を怠ったことによる未計画な繁殖」「引っ越し」「経済的理由」「ペットの問題行動」などがありましたが、その中で高齢者が持ち込む理由の上位を占めるのが「飼い主の高齢化、病気、死亡」「ペットの高齢化による飼育困難」でした。
これは、ペットの長寿命化と人の高齢化によって、新たに発生してきた問題でした。
ところが、2012年,2019年の動物愛護管理法改正により「終生飼養」の責任が強化され、相当な理由がない限り、自治体は引き取りを拒否できるようになりました。
自治体が入り口を閉ざしたことで、動物達は行き場を失ってしまいます。
そこで、新たな受け皿として設けられたのが「譲受飼養業」です。
これは第一種動物取扱業の種別に追加され、「民間のプロが受け皿となって救う仕組み」を整える意図がありました。
この「譲受飼養業」が一般的には「老猫ホーム」「老犬ホーム」と呼ばれているのです。
*第一種動物取扱業としての老猫ホーム
老猫ホームは保健所など自治体が引き取らなくなった分、専門的な知識を持つ民間事業者が(有償で)終生飼養を引き受けることで、動物の遺棄や「引き取り屋(悪徳業者)」の横行を防ぐ狙いもあります。
また、登録制にすることで、飼養施設の広さや管理基準を厳格化し、行政が立入検査を行えるようになりました。
詳しくは、動物愛護管理法により、施設設備、空調、衛生、ケージサイズ、健康管理、定期検査などが具体的に決められています。
*老猫ホームの課題
法律によって設定された「譲受飼養業」ですが、いくつかの課題があります。
一つめは、コストが高いこと。終生飼養には多額の費用(数百万円単位になることも)がかかるため、一般的に利用されるにはまだまだハードルが高いです。
二つめは、信頼性です。一部では「お金だけ取って劣悪な環境で放置する」業者が問題になっています。
悪徳ブリーダー問題のように多くの動物たちの犠牲を出さない為にも、預ける飼い主側や代理人が、必ず施設を見学し、動物福祉に見合っているかをしっかり見極めていかなければならないと思います。
三つめは、キャパシティです。近くにこのような施設が無い、都市部は需要が供給を上回っていて受け入れられないなど、地域によって偏りがあります。
*取り残される犬猫たちの今後
老猫ホームを運営している身としては、まだまだ受入れ施設が少ないと感じています。
第一種動物取扱業の資格を取得するにあたり、経験が重要なのは理解できますが、立地条件が厳しいと感じています。
うめねこを訪れる人の中には、自宅の一部を老猫ホームとして活用したいと考えている方が多いのですが、用途地域の制限により自治体から開業許可が下りず、諦めてしまう人もいます。
これからも高齢者によるペットの飼育困難は増えていき、行政や民間団体も対応に追われていくと思います。
例えば、頭数を上限5匹などと制限して自宅の一部で老猫ホームが出来れば、救える命も増えるのではないでしょうか?
自宅であれば、賃料が発生しない分、料金も抑えられるかもしれません。
また、行き場がなくなる犬猫の中には、高齢ではない子達も多く、動物愛護団体や保護猫カフェ、個人ボランティアも、預かって里親へ繋げるシステムを行っているところは少なくないと思います。
自治体によっては、取り残される犬猫について対策を考えているところもあります。
今後は、そういった自治体、民間団体、そして譲受飼養業などが連携し、「飼い主のいない犬猫」や「飼い主が急死したペット」をスムーズに次の住まい(ホームや里親)へ繋げるネットワークの構築が必要になっていくと思われます。
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