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動物の尊厳死

病院から戻って数日後の夜のことです。

つるの病状が急変しました。

呼吸が今まで見たことがないくらい荒くなり、何度も寝返りをうってとても苦しそうにしています。

「いけない。こんな状態が続いたらあまりにも可哀想だ」

私達は何回目かわからない安楽死の相談をして、明朝まで危篤状態が続くのであれば病院に連れて行くことにしました。

もしかしたら、一晩持たないかもしれないと思うほどに、つるの病状は良くなかったのです。

次の日の早朝のつる。

私もずっと起きて傍にいるつもりでしたが、途中で寝てしまって…。起きた時に撮った画像です。

私の方をジッと見ていました。

呼吸も落ち着き、目に力がありますね。

つるのこの表情を見て、私はまだいける!と感じました。

けれど、この日以来つるは一切の食べ物を口にしなくなりました。

大大大好きなちゅーるも一度だけ少し舐めましたが、それ以降は何度あげても舐めません。

大好きなウェットも高価なパウチも、色々なおやつも一切を受け付けません。

喉が渇くのか水だけは起き上がって飲みますが、あとはずっとベッドの上で過ごしています。

おしっこは一日に一度だけ濃いのをします。

痛み止めは効果が出やすい早い段階から投与していますし、ステロイド系ではないので効かなくなることもありません。また、つるは歯が悪いわけでもなく、内臓の数値はとても良いので、なぜご飯を食べないのか理由がわかりませんでした。

 

そして、断食を始めたつるに不思議なことが起こりました。

20センチぐらいになった巨大な腫瘍が目に見えて小さくなっていくのです。

病院に聞いたところ、がんも細胞なので脱水などが原因で小さくなることはあり得るそうです。

その時、

「つるはつるなりにがんと闘っているんだな」

と感じました。

今日のつるです。

ご飯を食べなくなってから、12日間経過しています。

今日も濃いおしっこを一回してくれました。

痛み止め飲むのだけ嫌がるけど、抵抗できる力は残っています。

気が向くとこっちを向いてくれます(^^)

がんについて、安楽死について、終末期医療について、ある獣医師の方が書かれた文章を見つけました。部分的に抜粋します。

 

『もしかして、動物は、亡くなる前に自らを脱水させて、脱水すると意識が低下し、痛みや苦しみを感じなくなるのではないだろうかと考えはじめました。調べてみると、人間の医師でもそのようにお考えになり、「尊厳死」を啓蒙する活動をされている先生が何人もおられました。』

 

この獣医師の方は、若い頃、終末医療に攻めの治療を提案してきたそうです。しかし、治る見込みがない患者に、そのような治療をすることはかえって最期に苦しませることになると、回顧しながら申し訳ない気持ちでいっぱいになると仰っていました。

 

『治療をしても回復が見込めない場合、極度に脱水していれば少量の補液をし、痛みが強い場合はしっかりと鎮痛する、といった患者に寄り添う治療が終末期医療となる』

 

とても納得できるお話でした。

私たちはつるに対して、適切な終末期医療ができていると感じることができます。

また、安楽死に関しても否定はしません。むしろ苦しみのたうちまわるのであれば、楽にしてあげたいという思いは変わりません。

しかし今回、つるが自ら食べることをやめ、尊厳死に向かって毎日を過ごしているのであれば、それを尊重し、辛くても寄り添っていくことが、私たちにできる唯一のことなのではないかと思い始めています。